アルバム名   Waltz for Debby
アーティスト名   Bill Evans Trio
製作年   1961
レーベル   Riverside
レコード番号   OJCCD-210-2(輸入盤)

 

 「軽快でお洒落な演奏」かと聴かれるとちょっと疑問も残る選択ですが、聴きやすいのに渋くて深みのあるアルバムということで、ビル・エバンスの「Waltz for Debby」を紹介します。

 ビル・エバンスは60年代以降のジャズにもっとも影響を与えたといってもいい、白人のピアニストです。バド・パウエルという人がジャズピアノの基礎を築いたんですが、ビル・エバンスは彼以来のピアノトリオのあり方を改革した最初の人です。

 バド・パウエル流のピアノトリオの演奏の場合、ピアノが「俺について来い!」って感じでガシガシと弾いて、ベースとドラムスはリズムを刻むだけって感じでした。ビル・エバンスは、リズム・キープ中心だった彼らをピアノと対等の立場に引っ張りあげて、一緒にコミュニケートしながらの演奏をしました(これをインタープレイという)。こうすることで、ミュージシャン同士の音楽による対話が生まれ、ジャズがより深いものになっていきました。

 このアルバムは、ニューヨークの老舗ジャズクラブ「The Village Vanguard」でのライブ録音です。スコット・ラファロ(b.)、ポール・モチアン(ds.)のトリオで録音され、プレスティッジレーベルから発売されたこれを含む4枚のアルバムはインタープレイの素晴らしさから「不朽の名作」といわれています。ここは食事しながらジャズが見られるため、演奏中に食器とお皿がカチャカチャ音を立てたりしていますが、彼らはそんなことを気にしないかのようにひたすら演奏を続けます。このアルバムに収録されている曲自体はスウィートで耳ざわりもソフトだけれども、その辺を注意して聴けばジャズミュージシャンの孤高の芸術精神を見たような気にもなれる、そんな1枚です。う〜ん、深いぜ。