「New Millenium」特集

 The New Standards / Herbie Hancock
アルバム名   The New Standards
アーティスト   Herbie Hancock
製作年   1996
レーベル   Verve
レコード番号   527 715-2(輸入盤)

 新しいミレニアムを迎えるにあたり、これからのジャズのスタンダードになる曲は何か、と考えたとき、その一つの答えを提示しているのがハービー・ハンコックのこのアルバム、その名も「ニュー・スタンダード」です。

 現在、ジャズの世界で「スタンダード」といわれている曲には、もともとは1920年代のブロードウェイのミュージカルに使われていた曲とか、昔のディズニー映画で使われていた曲とかが多く存在しています。それらの曲は、その当時にしてみればバリバリのポップスだったわけで、それがジャズの世界でスタンダードとして定着しているんだったら、どうして今のポップスをジャズが取り上げないんだ! とハービーが怒ったかどうかは定かではないんですが、このアルバムにはこれからのスタンダードになりそうなポップス・ベースの曲が多数収録されています。

 例えばすでにスタンダードとして定着した(と私は思っている)ビートルズの「ノルウェイの森」やサイモン&ガーファンクルの「スカボロー・フェア」はもちろんのこと、ピーター・ガブリエルの「Mercy Street」(すげえ好きなんです)なんかも入っています。その他ではシャーデー、プリンス、ニルヴァーナ、ベイビーフェイスなどの曲が取り上げられています。最近の傾向からいってスティングの曲なんかがあっても良かったかな、とは思うんですが、なくてもいいです。今までポップスしか聴いたことがなかった人にとっては、もしかしたら最初の一枚に適したアルバムかもしれません。



 New Directions / New Directions
アルバム名   New Directions
アーティスト   New Directions
製作年   1999
レーベル   Somethin' Else
レコード番号   TOCJ-68044

 上で「新しいスタンダード」について取り上げたので、こちらでは「今後のジャズを支えるミュージシャン」を紹介しましょう。ブルーノート・レーベルに所属する若手ミュージシャン6人が、それまでブルーノートに録音された曲を「その曲、俺達だったらこう料理するぜ」ってな感じでアレンジを加え、演奏しているのがこのアルバムです。タイトル・アルバム名ともに「ニュー・ディレクション」という辺りが非常にわかりやすくて、良いです。

 参加しているミュージシャンは面倒なのでいちいち説明しませんが、以前このコーナーで紹介したバイブラフォンのステフォン・ハリスは参加してます。私は彼の演奏が好きですし、その他の若手ミュージシャンもこれを買えばわかるなあ、と思って買ってみたんですが、これが思いのほか良かったです。曲自体は50〜60年代のものなんですが、アレンジが何とも90年代っぽくてかっこいいっす。

 しかし、それにしても若い。リーダー格のグレッグ・オズビーはひとまわり年が上だけど、それ以外のメンバーはたぶん全員私より年下だと思われます。そんな彼らがこんな素晴らしい演奏をしているのを聴くと、ジャズの未来は明るいという気になる一方、「一体俺はこの歳まで何をしてきたんだろうか?」などとちょっとブルーになったりもしました。それはともかく、これからのジャズについて知りたい人、アコースティックなジャズの未来形を試してみたい人、ミュージシャンの先物買いをして「ジャズ通」を気取りたい人などに、このアルバムは是非オススメです。