「Modern Art」特集

 Modern Art / Art Farmer
アルバム名   Modern Art
アーティスト   Art Farmer
製作年   1958
レーベル   Blue Note
レコード番号   CDP 7 84459 2(輸入盤)

 つい先日亡くなった抒情派トランペッター、アート・ファーマーの代表作。といってもこのアルバムはそんなにソフト路線じゃないんですが、音的には渋めで暖かみのある仕上がりになっています

 アート・ファーマーという人は、ハード・バップの時代からずっと第一線で活躍してきた名トランペッターです。もともと渋めで落ち着いたトランペッター(音の話ですよ)として名を馳せていましたが、60年代に入り、音により暖かみのあるフリューゲルホーンを吹くようになってからは「ソフトな抒情派」というイメージを定着させることになったそうです。このソフトな感覚は特に日本で人気が高かったらしく、70年代に入ってからは日本制作のアルバムがずいぶんと作られたようです。

 このアルバムは、そんな彼がまだトランペットに徹していた時代に録音されたものです。彼のトランペットの音色もテナー奏者のベニー・ゴルソンの音色も非常に暖かみがあり、そのハーモニーを聴いていると、ファンキーでありながらも心が落ち着きます。それから当時はマイルス・バンドに所属していたビル・エバンスがサイドメンとして参加していて、素晴らしいソロを聴かせてくれてますので、その辺でもお買得だったりします。



 Modern Art / Art Pepper
アルバム名   Modern Art
アーティスト   Art Pepper
製作年   1957
レーベル   Blue Note
レコード番号   CDP 7 64848 2(輸入盤)

 上で紹介したアルバムと全く同じタイトルのアルバム。こちらはアルト・サックス奏者のアート・ペッパーの作品です。白人のアルト奏者としては多分一番人気のあるミュージシャンだと思います。

 アート・ペッパーはウェスト・コーストを代表するミュージシャンで、そのどこか陰のある美しい音色は、非常にオリジナリティに溢れています。渋くて格好良くて、この頃のアート・ペッパーの演奏を聴いていると自分がハードボイルドな世界にいるような気分になれます。しかし本人はこの頃からドラッグにハマり、入退院や出入獄を繰り返し、60年代はほとんどアルバムを残していません。しかし70年代初めに、麻薬患者療養センターでボランティアをしていた写真家ローリーさんと結婚してからは復活し(愛の力ってすごいのね)、亡くなるまでまた多くのアルバムを吹き込んだのでした。

 このアルバムは、彼独自のロマンティシズムと哀愁感が同居した魅力に満ち溢れていて、非常に聴きごたえがあります。特に私が好きなのは「Blues In」「Blues Out」という対をなすブルースです。ここで聴けるベースとアルト・サックスのみの音楽というのは、スローな曲調とともに、アート・ペッパーの魅力を堪能するのに最も優れたフォーマットのように思えます。もちろんその他の曲も素晴らしく、どれも心に深く染み入ります。