「Sabu Martinez」特集

 Sabu's Jazz Espagnole
アルバム名   Sabu's Jazz Espagnole
アーティスト   Sabu Martinez
製作年   1961
レーベル   Alegre
レコード番号   LPA 8020(輸入盤)

 ジャズのパーカッショニストで私が一番好きなのは、今回紹介するサブー・マルチネスという人です。といっても彼の経歴とかはほとんど知らないし、現在生きているかどうかも知らないんですが。しかもそれを調べようという気すらなかったりしてます。でも彼の「どこかおどろおどろしい感じが漂う太鼓の音色」はワン・アンド・オンリーで、とにかくカッコいい。比較的マイナーなミュージシャンではありますが、夏だし、ラテンだし、この機会に特集してみることにしました

 サブー・マルチネスは(たぶん)1930年に(たぶん)キューバで生まれました。11歳でプロデビューして以来、ジャズの世界ではチャーリー・パーカーやアート・ブレイキー、ディジー・ガレスピーといった大物ミュージシャンと競演し、またラテンの世界でも数多くの有名バンド(すいません、バンド名までは知らないっす)で演奏していたんだそうです。以前、今週のオススメで彼の名作「Palo Congo」を紹介しましたが、あちらは彼の中のラテンな部分を大きく取り上げたアルバムでした。

 このどうにもショボいジャケットデザインのアルバムは、彼の作品の中では極めてジャズ寄りの内容になっています。取り上げてる曲も「Woody'n You」とか「Nica's Dream」といったジャズメンの書いたスタンダード曲、またその他の曲もジャズっぽいテイストに溢れていて、ラテンじゃなくてラテン・ジャズが好きという人にはオススメな1枚です。ここで聴けるサブーのパーカッションは、多少おどろおどろしいとはいえ正統派なジャズ・パーカッションで、ジャズメンとしても一流だったことがよくわかります。



 Afro Temple / Sabu Martinez
アルバム名   Afro Temple
アーティスト   Sabu Martinez
製作年   1973
レーベル   Hitland (Italy)
レコード番号   VCS 008(輸入盤)

 上で紹介したアルバムを作ってから12年後、彼がスウェーデンのストックホルムで吹き込んだこの作品は、彼のスタイルがよりわかりやすく濃縮されたカタチで現れています。それはジャズのアルバムとしては邪道ともいうべきテイストですし、ラテンの作品としてもきっと邪道なものでしょう。まさに大仁田厚も真っ青なこのアルバムは、しかしサブー・マルチネス以外には醸し出すことが出来ないカッコ良さを誇示していて、いつ聴いても新鮮な印象を与えてくれます。

 タイトルが示すとおり、この作品はサブーが自らのルーツであるアフリカを強く意識して作った(と思われる)アルバムで、作品全体を通じて感じられるニュアンスはかなり暗いです。サックスとかフルートらしき楽器が奏でるメロディはなんともドロドロしていて、黒魔術みたいな世界を連想させます。ただしアルバムの後半には明るく激しいノリの曲も入っているので、聴いていてそんなにブルーになることはありません。かなり突っ走っているので多少疲れることはあるかもしれませんが。

 しかしこのアルバム、サイドメンの紹介とかが一切書いてないのはちょっとまいりました。さすがイタリア制作盤、細かいことは気にしないのね、とか思ってしまったのは偏見でしょうか。金管楽器の演奏者が誰か知りたかったのになー。それだけがちょっと残念です。