“暑いときこそアツい音楽”特集

 Ball Of Fire / The Skatalites
アルバム名   Ball of Fire
アーティスト   The Skatalites
製作年   1997
レーベル   Island Records
レコード番号   IJCD 4005(輸入盤)

 8月になり、夏も本番を迎えました。もう毎日毎日暑くてかなわんっ!とお嘆きのあなたに、聴くだけでもっと暑くなる音楽をご用意してみました。エアコンをオフにしてこれらのアルバムを聴いてたら、きっとたっぷり汗をかくことができるでしょう。そうすれば熱い風でも涼しく感じられ、電気代も節約できるかもしれません。今回はそういう意味で、地球に優しく家計にも優しいアルバム3枚を紹介します。

 まずはスカの名門バンド、ザ・スカタライツのアルバムから。スカという音楽は、簡単に言ってしまえばレゲエの前身みたいな音楽です。日本では『東京スカパラダイスオーケストラ』なんかがとても有名ですが、スカタライツの音楽はもうちょっと素朴でひねりの少ない印象があります。このバンドは64年頃ジャマイカで結成された、スカを演奏するグループとしては最も古いものの一つで、またスカバンドの最高峰に位置しています。

 「Ball of Fire」という、夏の間は手にとるのも嫌になる名前&ジャケット・デザインのこのアルバムは、コテコテのスカ・バージョンになったジェームス・ボンドのテーマで始まります。007 の舞台がジャマイカに決まったときはぜひ本編でも使って欲しいほどの素晴らしさです。その他の曲も素晴らしいですが、日本人には『リンゴ追分・スカバージョン』が収録されているのがなんとも嬉しい限りです



 A Lo Cubano / Orishas
アルバム名   A Lo Cubano
アーティスト   Orishas
製作年   1999
レーベル   Cayo Hueso
レコード番号   7243 522052 2 6(輸入盤)

 キューバ風味のリズムに乗せてスペイン語のラップが弾けたちょっと異色な4人組のアルバム。ジャケットとタイトルにひかれて予備知識なしで買ったところ、久しぶりにラップのCDを買うことになって、自分でもかなりびっくりしたんですが、夏に聴くにはなかなか悪くない暑さなのでここで紹介します。

 ジャケ買いアルバムなので、この Orishas というバンドのこともこのアルバムのことも全然わかってません。中に解説がついてましたが、スペイン語なので全然読めませんでした。発売元はスペインのようですが、たぶんスペインではなく中米のバンドであろうと思います。ジャケットを見た感じといい、曲の雰囲気といい、まだまだ全然若手であろうと思いますが、実はそれ以上彼らについて知りたいとは思っていないので、紹介はこの辺で止めときます。テキトーで申し訳ない。

 いや、しかしラップってのは暑苦しい音楽だね。この『狭い空間にこれでもかとばかりに言葉を詰め込んでいる』あたりで汗が吹き出してくるね。そしてスペイン語ってのがさらに暑さを増すんだよなあ。歌い方もどことなく攻撃的だしさ。歌詞の意味までは分からないけど、これで歌詞の意味まで分かっちゃったら逆に聴けないかもしれない。あまりに暑すぎて。



 Taraf de Haidouks
アルバム名   Taraf de Haidouks
アーティスト   Taraf de Haidouks
製作年   1999
レーベル   Nonesuch
レコード番号   WPCR-19033

 彼らのバンド名をそのままタイトルとしたこの「タラフ・ドゥ・ハイドゥークス」というアルバムは彼らの日本デビュー盤であり、今までヨーロッパで発売された3枚のアルバムから選りすぐりの曲を集めた作品です。彼らはルーマニアの小さな村に住むロマ(ジプシー)で、村の結婚式などのイベントのときに音楽を担当していた人達です。バイオリンやアコーディオンといった移動可能な楽器を使い、独自の発展を遂げた音楽を家族的な楽団で演奏することで、極めて民族的でありながら国際的に評価される音楽を作り上げたのでした。

 このアルバムは、上で紹介した2枚と比べると「アツさ」の質がちょっと違った音楽を演奏しています。リズムはそんなに暑くないんですが、歌い方とか楽器の音色の密度とか演奏の仕方とかがとにかく濃くて、その濃さに聴いている側が圧倒されるというわけです。感覚としては、夏に重い赤ワインを飲むような暑苦しさといったらわかってもらえるでしょうか。そういう意味では冬に聴いた方がいいような気もしますが、大好きなアルバムということもあり、この機会にまとめて紹介しちまうことにしたのでした。買って聴いて「うわっ、濃いな〜」と思ったら、冬まで寝かせておくことにしましょう。きっと熟成されていい音になっていることと思います。演奏自体は恐ろしく素晴らしいものなので、時期さえ間違えなければ必ず気に入ってもらえると信じてます

 というわけで『地球に優しく家計に優しい夏の音楽セレクション』という、どこかの安っぽい通信販売にひっかけたような名前の特集を終わりにします。「電気代を節約できてもCDを買っちゃったら余計高くつくのでは?」という疑問を抱いたあなた、それは思いっ切り正解なのですが、ここではあえて無視します。CD紹介コーナーでそれは禁句なのよ。