「ウィ、マドモアゼルな映画のサントラ」特集

 Les Liaisons Dangereuses / OST
アルバム名   Les Liaisons Dangereuses
アーティスト   Original Soundtrack
製作年   1960
レーベル   Fontana
レコード番号   PHCE-4020

 先月は、フリー・ジャズという『初心者的には地雷系ジャズ』を無謀にも紹介してみましたが、今月はお洒落な香り漂う・おフランス産の映画のサントラ2枚にしてみました。まず最初は、ロジェ・ヴァディム監督の1960年作品『危険な関係』から。

 このサントラではアート・ブレイキーが全編を通じて参加しており、基本的にはジャズ・メッセンジャーズの演奏を中心に収録されています。当時のジャズ・メッセンジャーズは私の大好きなリー・モーガンとボビー・ティモンズが在籍していて、このアルバムでも彼らならではのファンキーな演奏を聴かせてくれます。また映画のテーマ曲『危険な関係のブルース』ももちろんかっこいいんですが、これをラテン調にアレンジした『危険な関係のサンバ』もなかなかいけます。一粒で二度おいしい仕上がりになってます。

 映画の中ではセロニアス・モンクのピアノが使われているんですが、このサントラには収録されていません。それはかなり残念ですね。それから映画にはトランペッターのケニー・ドーハムが出演しているんですが、実際にトランペットを吹いているのはリー・モーガンだったりしていて、ドーハムの胸中はいかばかりのものであったか、なんて考えてみたりもしました。ちなみにこの映画は「戦後のフランス映画の傑作のひとつ」(by 岩浪洋三)ということなので、興味がある人は見てください。



 Des Femmes Disparaissent / OST
アルバム名   Des Femmes Disparaissent
アーティスト   Original Soundtrack
製作年   1958
レーベル   Fontana
レコード番号   834 752-2(輸入盤)

 このアルバムは『殺られる』というエドナール・モリナロ監督の映画と『危険な曲り角』というマルセル・カルネ監督の映画のサントラが1枚に収まったアルバムです。演奏しているミュージシャンも監督も全然違うのに1枚に収録されているっていうのが極めて奇怪ですが、ジャズも映画もよくわかってないレコード会社の人間が「どっちもジャズだしぃ〜」というお気楽さから作ってしまったのではないかと推測しています。ラテン民族たるフランス人の面目躍如と言えますね♪

 その参加ミュージシャンなんですが『殺られる』の方は全編通じて(また)アート・ブレイキーとジャズ・メッセンジャーズで、『危険な曲り角』の方はオスカー・ピーターソンを中心としたカルテットにスタン・ゲッツやらディジー・ガレスピーといったホーン奏者が1曲ごとに参加して作られたものです。実は私はどちらの映画も観てないんですが(というかタイトルすらよくわかってなかった。邦題を教えてくれたFさん、どうもありがとう)、この当時のフランス映画のサントラはどれも素晴らしいということ、それからリー・モーガンがいた頃のジャズ・メッセンジャーズの演奏が聴けるということ、またマニラで安く売っていたことなどが重なって買ってみました。どちらのサントラも『危険な関係』よりはファンキー色が弱いんですが、その分渋くてオトナの気分が味わえ、ブルースやバラード好きにはこちらの方が楽しめるのではないかと思っています。

 この頃のパリのサン・ジェルマン・デプレ辺りに集う若者の間では、ジャズはとても人気があったようで、そうした若者でもあったヌーヴェル・ヴァーグの監督達の間では映画のサントラにジャズを使うのは一種の流行になっていたようです。『危険な関係』もそうですが、他にもマイルスの『死刑台のエレベーター』とかMJQの『大運河』とかすぐに思い出すことが出来ます。ナウなヤングがこんな渋い音楽を聴くなんて、当時のパリってのはなんともイカしてるよなー。ニッポンのど田舎(しかもバリバリの過疎地域)在住の私としてはそのあまりのかっこよさに、ちょっと『ケッ!』って悪態をついてみたくもなりました。つかないけどね、お上品なナイスガイだから、俺。