“女性ボーカル”特集

 When I Look In Your Eyes / Diana Krall
アルバム名   When I Look In Your Eyes
アーティスト   Diana Krall
製作年   1999
レーベル   Verve
レコード番号   050 304-2(輸入盤)

 ダイアナ・クラールは、たぶん今一番人気のあるカナダ出身のボーカリスト(兼ピアニスト)です。いかにも正統派なジャズシンガーで、その歌唱スタイルは非常に洗練されています。白人特有の軽やかな感覚に彩られた歌声は、特に大きな感動とかは(個人的には)ないんですが、気持ちよく音楽に浸れて、聴いていると自分がだんだんロマンティックな気分になっていくような気もしないでもないです。恥ずかしいのでそんなことは認めませんが。

 このアルバムは、この前に製作された「ラブ・シーンズ」という、その名の通りの甘いラブ・バラード集の成功を受けて、同じ路線で作られた作品です。「2匹目のドジョウ狙いかいっ!」といってしまえば、まあそれっきりなんですが、でもよくできてますよ。さすが去年のスウィングジャーナル誌の読者人気投票で1位に選ばれるだけのことはあります。評論家よりも一般読者から絶大な支持を受けているというのは、聴きやすいということだろうし、確かにあまりジャズに詳しくない人が思い浮かべるジャズってこういう音楽だろうなあと思わされたりもしています。

 というわけで、このアルバムはいい出来だし、聴きやすくて私も好きな作品ですが、あまりの甘ったるいムードに胸焼けを起こすこともしばしばだったりします。しかしそれは聴く側(つまり私)の性格とか取り巻く環境とかに問題があるだけであり、きっと多くのハッピーな人達には気に入ってもらえる音楽でしょう。優しくて、セクシーで、愛にあふれた音楽でパートナーとラブラブな気分に浸りたい人は、是非ご購入することをオススメします。



 New Moon Daughter / Cassandra Wilson
アルバム名   New Moon Daughter
アーティスト   Cassandra Wilson
製作年   1996
レーベル   Blue Note
レコード番号   TOCJ-5996

 カサンドラ・ウィルソンの数あるアルバムの中でも、最高傑作に挙げられることも多い作品が、この『ニュー・ムーン・ドーター』です。私もカサンドラのアルバムは何枚か持っていますが、そしてどれも本当に素晴らしいですが、これと『トラベリング・マイルス』の2枚は、神懸かっていると思えるほどよくできています。聴きやすさという点でもそんなに悪くないですし、カサンドラを聴いたことがないという人は、この辺から入門してもらうといいんじゃないかと思います。

 このアルバムで取り上げている曲は、彼女の自作やスタンダードに加え、さまざまなポップスが含まれています。U2とか、モンキーズとか、ニール・ヤングとか。しかしどの曲も、どの一部分を取り出しても見事なまでの「カサンドラ・テイスト」で、聴くものをとにかく圧倒します。この独特の低い声、そして情感のこもった歌い方。もうたまらんですね。解説を書いているピーター・バラカンさんもアルバムの最初から最後まで鳥肌立てながら聴いたとのことですが、それは決して誇張じゃないと個人的には思います。

 そういえば以前、ブルーノートにカサンドラのライブを観に、以前の会社の同僚(男性1人と女性1人)と出掛けたのですが、それを大学時代の知り合いに目撃され、しかしそれが「私が女性と二人でライブを観ていた」という話に変化して、明くる日に別の友人から「デートしてるんじゃねえよ」と冷やかされたことがありました。デートぐらいしたっていいだろ、と実際には(残念ながら)デートではなかった私は思ったりもしましたが、それよりも人の噂ってこういうカタチで広まっていくのか!とかなりびっくりしました。東京って意外に狭いね。不倫している人達は注意した方がいいよ。