“ギターが印象的なアルバム”特集

 Sinfonia / 村治佳織
アルバム名   Sinfonia
アーティスト   村治佳織
製作年   1996
レーベル   Victor
レコード番号   VICC-186

 伊藤園のCMや産経新聞(だったかな? 読売だっけ? まあとにかく右翼系新聞社だったはず)のコラムなどで一般にも有名になった村治佳織さんの、そんなに有名になる前のアルバムです。これは3枚目のアルバムで、もう既にクラシック・ファンの間ではこのアルバム発表以前からその名を定着させていたようですが、私はたまたまCDショップをブラブラしていたときに視聴し、その美しい音色(とルックス)にくらくらして早速買い求めた作品でもあります。

 このアルバムは、彼女が高校生だった頃に作られたものであり、バッハやスカルラッティといったバロック派の作曲家の曲を取り上げています。バロック音楽は、クラシックに親しんでいない人にも聴きやすいタイプの音楽であり、彼女のギターの魅力を一般に知らしめるという意味ではうまい戦略だったと思います。またこの頃からビジュアルも前面に打ち出した販売戦略で大成功した感があり(このアルバム以前の写真はまだガキって感じがします)、その後はちょっとやり過ぎちゃってるかな、という印象も受けますが、まあ美しいのでそれもあり、ということにしておきます。

 しかし個人的には、彼女以降、アイドルっぽい感じで若手女性クラシック演奏家が取り上げられている印象を受けています。それから木村大みたいに全然たいしたことないルックスでも、年齢にものをいわせてゴーインにアイドル的に販売戦略を立てているような気もしています。それって、いいことなの? 別に悪いこととは思わないけど、そこまでしなくてもいいんじゃない、という気がしてしまうのも、それはそれで事実だったりしています。



 Heidi Berry
アルバム名   Heidi Berry
アーティスト   Heidi Berry
製作年   1993
レーベル   4AD
レコード番号   9 45301-2(輸入盤)

 ハイジ・ベリーは、イギリスだったかアイルランドだったか出身の、フォークっぽいきれいなポップスを歌う歌手です。詳しい経歴は知りませんし、また例によって調べようともしていませんが、秋になると聴きたくなるタイプの、憂いを前面に押し出し、ストリングスによるアレンジを効かせた音楽をやる人でもあります。ちなみにギターが印象的なアルバムとして紹介していますが、彼女はギターを演奏していません。あしからず。

 このアルバムは、本人の名前を冠していますが、ファーストアルバムということではないようで、本人は結構歳のいった人です。そして年齢をある程度上手に重ねたものだけが醸し出すことができる、少し軽さを持った渋さを持っている人でもあります。またジャケットやライナーに掲載されている写真も非常に上品で洒落ていて、その全てが秋向きのミュージシャンという感じがします。

 ちなみに私、彼女とはちょっとだけですが話をしたことがあります。彼女が前座としてシカゴのとあるバーのような場所で演奏したときに聴きに行き、その後メインアクトがめちゃめちゃ鼻くそのような演奏をしていたので呆れてその場を出たら、彼女がひとりだけでタクシーを待っていたのでした。私は興奮しながらも彼女と5分くらい話が出来たんですが、そしてそれは個人的にはすごくみんなに自慢したいことなんですが、誰もハイジ・ベリーなる人物を知らないので、自慢できません。ちぇっ。



 Greatest Hits / The Jam
アルバム名   Greatest Hits
アーティスト   The Jam
製作年   1991
レーベル   Polydor
レコード番号   849 554-2(輸入盤)

 ポール・ウェラーが1977年に、最初に率いたバンドのベスト・アルバム。ポール・ウェラーはその後スタイル・カウンシルなどでお洒落系ミュージシャンの筆頭として認知されていくのですが、デビュー当初はこんなパンクな音楽をやっていたのか、とその格差の大きさには改めてびっくりさせられます。特に私は高校生の頃ちょっとだけスタイル・カウンシルにはまり、スタイル・カウンシルからポール・ウェラーに入った人間だったので、初めて聴いたときのショックはそれなりに大きいものでした。

 このアルバムには、ジャム時代に発表したシングルA面の曲が全て収録されています。録音年代順に収録されているので、初期の勢いだけで押す演奏から徐々にメロディが洗練された、その後のスタイル・カウンシルに繋がっていくものに変化していく様子がよくわかります。特にホーン・セクションが加わりだした頃から個人的にはかっこいいと感じ始めるのですが、たぶんこの頃からバンドとしてはビミョーな時期に入っていったのではなかろうかと思います。でもバンドの成功とともに音楽が洗練されていくのは、きっと当然のことなのだろうなあ、とも思え、解散に至ったのは当然の帰結だと感じられます。

 またもともとがパンクバンドと、当時のイギリスの状況が最悪だったということもあり、非常に社会的なメッセージの強い曲が多く見受けられます。この頃のバンドといえば、ザ・スミスなんかもすごくシニカルで社会派な名曲をたくさん書いていますが、その辺にイギリスの音楽業界のパワーみたいなものを感じます。日本もこれだけ不景気だというのに、社会に訴えかけるような曲がほとんど見受けられず、浜崎のような『紋切り型の自分探しソング』が売れてるっつーところに、聴衆の格差みたいなものを感じずにはいられません。