The Music of Sting / The Bob Belden Ensemble
アルバム名   The Music of Sting
アーティスト   The Bob Belden Ensemble
製作年   1991
レーベル   Blue Note
レコード番号   VDP 7 95137 2(輸入版)

 スティングの曲ばかりを集めてジャズっぽくアレンジして収録した、ちょっと変わったアルバム。スティングの曲は、特にポリスの後期からソロになってからのものはジャズっぽいものが多いので、個人的にはあまり違和感なく聴けるんですが、他の人に聞いたらやっぱりちょっと変な感じだって(笑)。

 収録曲は「Roxanne」「Every Breath You Take」といったポリス時代の名曲もありますが、ソロになってからの曲が多めです。ソロになってからのアルバムにはジャズマンが参加していることもあり、アレンジがしやすかったのでしょう。たぶん。個人的には「Sister Moon」の後半の盛り上がりとかが特に気に入っていたりします。

 アンサンブルと名乗っているだけあって、演奏はなかなか迫力があります。そのアンサンブルを率いているボブ・ベルデンという人は有名なプロデューサーで、特に「ブルーノート・オタク」として知られています。実際にスティングとも親交があるらしく、彼のソロアルバム作成のときは何人かのジャズミュージシャンを彼に紹介したそうです。ゲスト・ミュージシャンもなかなか豪華で、「Wrapped Around Your Finger」ではダイアン・リーブスがボーカルとして参加してますし、ジョン・スコフィールドも参加しています。今でもまだジャズへの取っかかりが見つからない、というポップス・ファンは試してみるのもいいかも、というアルバムです。



 Word of Mouse / Jaco Pastrius
アルバム名   Word of Mouse
アーティスト   Jaco Pastrius
製作年   1981
レーベル   WEA
レコード番号   WPCR-507

 まず最初に謝っちゃうんですが、このアルバムはこのサイトを見てくれている(であろう)初心者にはちょっと向いていないかもしれないです。ちょっとアバンギャルド過ぎるような気がします。しかも発売年も20年近く前だし。でもね、このアルバムは今聴いても音的には充分新しいです。ちょっとぶっとんだジャズが聴きたいという人にはぜひ試して欲しい一枚です。

 ジャコ・パストリウスという人は、ジャズフュージョン界ではベースの革命を起こした人として非常に有名です。演奏テクニックが天才的であっただけでなく、UCLA でジャズの講師をするほど理論的にも優れていたらしいです。しかしこの天才はアルコールとドラッグで瞬時にその栄光から引きずり下ろされます。酒と薬のために愛用のベースを売り払い、知り合いのミュージシャンに金をせびり、束の間の快楽のために人生を無駄にし、ニューヨークのジャズクラブから閉め出されていきます。居場所がなくなったジャコは故郷フロリダに帰りましたが悪癖は直らず、飲み屋で暴れてガードマンにぼこぼこにされてそれがもとで35歳の若さで死にました。この素晴らしいアルバムを聴いていると悲しみよりも何とも言えない腹立たしさを感じずにはいられません。何で才能を無駄遣いしちゃったんだろうなぁ......。

 このアルバムは、そんな彼が酒と薬に溺れる前の、スーパースターとして栄華を極めた時代に作られた最高傑作の1枚です。参加しているミュージシャンもハービー・ハンコック、ウェイン・ショーター、マイケル・ブレッカー、ジャック・デジョネット、トゥーツ・シールマンスなど、そうそうたるメンバーです。曲は1曲目からすげえかっこいいんですが、4曲目から7曲目までの、レコードで言ったらB面に当たる部分は組曲のように流れていき、そのテクニック、構成力ともに圧倒されます。この素晴らしいアルバムの演奏の大半は、彼が一人で作り上げたベーシックトラックをもとにオーバーダビングの連続によって完成したものらしいんですが、そんな話を聞くとこの人は本当に天才だったんだなあ、と感じずにはいられません。合掌。