「渋めのボサノバ」特集

 Page One / Joe Henderson
アルバム名   Page One
アーティスト   Joe Henderson
製作年   1963
レーベル   Blue Note
レコード番号   CDP 7 84140 2(輸入版)

 今ではグラミー賞を何度も受賞するほどの大物サックスプレイヤーになったジョー・ヘンダーソンのデビュー・アルバム。このアルバムの最初に録音されているのが「ブルー・ボッサ」という、ブルース色の濃い、かなり渋めのボサノバです。

 これは当時ヘンダーソンが所属していたバンドのリーダーだったトランペットのケニー・ドーハムが作曲した曲です。当時のヘンダーソンは「新主流派」のサックス奏者として名前が知られ始めた頃だったので、こんなにベタなブルージーな曲を演奏するのには抵抗があったようなんですが、そんな曲がアルバム中一番の大ヒットになるというんだから、世の中わかりません。そしてそんな状況に抵抗したヘンダーソンはより過激にプレイして、彼のスタイルが発展したというのだから、まさに「寒翁が馬」状態ですな。面白いもんです。

 この曲はまず、普通は明るいボサノバらしからぬ哀愁を帯びたテーマ部分が素晴らしいです。それから「間が多く癖の強い」ドーハムのトランペット→うねるようなフレーズをバリバリ吹くヘンダーソン→ピアニストのマッコイ・タイナーによる美しい旋律と続くソロ部分はさらに素晴らしいです。ジャケットも美しいし、ホントにお買得な一枚だと思います。



 Dippin' / Hank Mobley
アルバム名   Dippin'
アーティスト   Hank Mobley
製作年   1965
レーベル   Blue Note
レコード番号   CDP 7 46511 2(輸入版)

 ファンキーな演奏で知られるテナー・サックス奏者、ハンク・モブレイがこのアルバム「ディッピン」に吹き込んだ渋めのボサノバといえば「リカード・ボサノバ」です。このアルバムは米国では大してヒットしませんでしたが、日本ではこの「リカード・ボサノバ」のおかげで大ヒットを記録し、彼の日本での人気を決定づけたのでした。

 なぜ日本でしか人気が出なかったのか、私にはよくわかりませんが、確かに日本のジャズファンが好む「シンプルで覚えやすいメロディ」「ブルージーでアーシーな演奏」といった要素はきちんと押さえていると思います。というかそれってアメリカ人も好きだと思ってたんだけど、違うの?この曲、ノリもすごくいいし、アメリカ人も絶対好きだと思うけどなあ。まあそれはともかく、日本ではこの曲は「ジャズ喫茶人気御三家」の1つだったとか。その表現自体に時代の流れを感じさせます。

 ボサノバのリズムとファンキーな演奏は意外と相性がいいらしく、この「リカード・ボサノバ」や先に紹介した「ブルー・ボッサ」以外にもファンキー、ブルージー、ソウルフルなプレイで人気のあったミュージシャンがいろんな名アルバムを残しています。ここでは紹介できませんでしたが、こうしたジャズっぽいボサノバ(しかも黒い感じがするやつ)が好きな人は、アイク・ケベックの「ボサノバ・ソウル・サンバ」やラムゼイ・ルイスの「ボサノバ」、ミルト・ジャクソンの「ジャズ・ン・サンバ」なども是非お試し下さい。ブルージーなボサノバは、普通のボサノバとはまた違った魅力があって、特に一癖ありそうな人にはとてもいいと思います。