「渋めのジャズ・ギター」特集

 The Incredible Jazz Guitar / Wes Montgomery
アルバム名   The Incredible Jazz Guitar
アーティスト   Wes Montgomery
製作年   1960
レーベル   Riverside
レコード番号   VICJ-60297

 今までのジャズ・ギターのアルバムの中でも1、2を誇る人気と出来映えを誇るウェス・モンゴメリーのアルバム。その素晴らしさは一家に一枚的なアルバムと言ってしまっていいかもしれないほどです。

 家族を愛し、故郷を愛し、飛行機が嫌いだったという理由で、彼は30代半ばまで地元であるインディアナポリスにいました。若い頃はツアーで全国を渡り歩いたりしていたようですが、2年後に嫌気がさして以来、ずっと一介のローカル・ミュージシャンとして活動していたそうです。そんな彼を、ツアーでインディアナに来ていたキャノンボール・アダレイが「発掘」し、ニューヨークへ連れて行き、レコーディングをさせたのでした。そしてその数ヶ月後にニューヨークで活躍していたピアニストのトミー・フラナガンらとともに録音されたのがこのアルバムです。

 収録されているのは全部で8曲。そのうちオリジナルが4曲です。彼は楽譜が読めなかったらしいのですが、オリジナル曲はどれも素晴らしいです。オリジナル曲で人気があるのは4曲目と5曲目ですが、私は2曲目のなんの変哲もないブルースにとても心惹かれるものがあります。そのほかでは1曲目のソニー・ロリンス作曲の「Airegin」(ちなみにこのタイトルはナイジェリアの綴りを反対にしたもの)の強烈なスイング感とか、ビル・エバンスの名演でおなじみの「Polka Dots and Moonbeams」の格調高い美しさに感動しました。いや、ホントに彼のテクニックはすごいね。それを見せびらかすのでもなく、さらっと演奏しちゃう辺りがまた渋いなあ。羨ましいです。



 Undercurrent / Bill Evans & Jim Hall
アルバム名   Undercurrent
アーティスト   Bill Evans & Jim Hall
製作年   1962
レーベル   Blue Note
レコード番号   CDP 7 90583 2(輸入版)

 ピアニストのビル・エバンスとギタリストのジム・ホールのデュオによる、美しい演奏が印象的なアルバム。演奏だけじゃなく、ジャケットの美しさもすごく幻想的で印象的な1枚です。

 当時のビル・エバンスは、「ワルツ・フォー・デビイ」で共演し、理想のパートナーとなっていたベース奏者のスコット・ラファロを交通事故で亡くし、そのショックから1年を経てやっと立ち直った頃でした。そうはいっても彼の代わりになるベース奏者を探すことが出来ず、しばらくはグループとしての演奏は控え、いろんなミュージシャンとさまざまな作品を残しました。これはその頃の1枚で、当時西海岸で有名になりつつあったギタリストのジム・ホールと共演したアルバムです。このアルバムでは、お互いに相手の出した音を聴いてそれに柔軟に反応しながら演奏するという「インタープレイ」が存分に楽しめます(この辺の説明はこっちも参考にしてね)。

 このアルバムはただ聴いていてもウットリできるアルバムですが、インタープレイとは何であるかを勉強するのにもいいアルバムです。というのも、このアルバム(CDに限る)には「My Funny Valentine」が2種類入っていて、最初のは1回目の録音、次のが2回目の録音となっています。この2つを聴き比べてみると、最初の録音はお互いがどう動くかを見定めあってる感じで、どことなくぎこちなく感じられる(といっても充分レベルは高いけど)んですが2回目の演奏では、相手の出す音に合わせてお互いに見事に美しく絡み合っているのがよくわかります。こういうのを聴いちゃうと、いや〜、ジャズミュージシャンてホントにすごい人達なんだなあ、と感嘆せずにはいられません