「X'mas with Miles」特集

 Round About Midnight / Miles Davis
アルバム名   Round About Midnight
アーティスト   Miles Davis
製作年   1955
レーベル   Columbia
レコード番号   CK 40610(輸入盤)

 マイルス・デイビスの比較的初期の名アルバム。雰囲気的には先月のハードボイルド特集を引きずっているような、そんな出来です。渋いクリスマスを過ごしたい、という人におすすめです。そういう人はあまりいないかもしれないけどね(笑)

 このアルバムは、マイルス・デイビスがコロンビア・レコードに吹き込んだ初めての作品であり、同時にジョン・コルトレーンやレッド・ガーランドなどといった一流サイドメンと結成したオリジナル・クインテットによる初録音アルバムでもあります。ジャズの黄金時代に最も人気のあったグループの演奏ですから、もう「これぞジャズ!」というべき内容で、「こんな渋くてイカした音楽を聴いてる俺って、もしかしてカッコいい?」などという“勘違い的ナルシシズム”に浸ることができるアルバムになっています。

 特にかっこいいのは最初の曲でアルバムのタイトルの元にもなっている「ラウンド・ミッドナイト」でしょう。特に最初の2分半はめちゃくちゃ渋いです。この頃のマイルスの特徴でもある、抑制の効いたバラードは本当に聴きごたえがあります。こういうのをリリカルなプレイって言うんだろうなあ、と学習したのも、そういえばこのアルバムだった気がします。というわけで、クリスマスを独りぼっちで過ごさなくてはいけない諸君、これを聴いて「俺には女なんぞいらねえ」などとハードボイルドぶってみてはいかが?さらに悲しくなったとしても責任は持てませんけどね。



 On The Corner / Miles Davis
アルバム名   On The Corner
アーティスト   Miles Davis
製作年   1972
レーベル   Columbia/Legacy
レコード番号   CK 53579(輸入版)

 同じマイルス・デイビスでも上の渋〜いアルバムとはうってかわり、バリバリのブラック・ファンクなアルバム。続けて聴いたら「これがホントに同じ人の演奏なのかっ!?」と、驚愕すること間違いなしです。ちなみにこちらはパーティー・ピープル用のアルバムです。

 このアルバムは「ビッチェズ・ブリュー」以降の、いわゆる『エレクトリック・マイルス』と呼ばれる時代に録音された、マイルスの意欲作です。発売当初はその内容の過激さのせいで、評論家などから(他のエレクトリックなアルバム以上に)えらく不評を買ったようです。私もこの音楽がジャズかと聞かれても返答に窮します。4ビートじゃないし、フォームだってジャズのものじゃないし。でもね、そんなことは関係なくめちゃめちゃカッコいいんすよ、このアルバムは。そのかなりパンキッシュなファンクといい、マイルスの「ワウワウ」と唸るトランペットといい、その病的にイカれた感じがなんともイカしてます。

 このアルバムは、ジャケットもカッコいいです。どこをどう捉えてもブラック・ミュージック以外には絶対に有り得ないデザイン・センス。もうたまりません。自分の先祖は黒人に違いないと思っている人、そうじゃなくても世紀末のクリスマス、とにかく踊って過ごしたい!という人は、試す価値のあるアルバムだと思います。