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ドゥドゥ・ンジャエ・ローズは、西アフリカ・セネガル出身の打楽器奏者兼作曲家です。セネガルに伝わる、社会的儀礼の際には欠かせないさまざまなリズムを学び、その伝統を基調としつつも、ただ伝統的な音楽を演奏するだけではなく、グループ編成や楽器の演奏方法や作曲面においていろいろな改革を施し、セネガルを代表する音楽家となりました。とても複雑なリズムを何層にも重ねた彼の音楽は、にわかには信じられないほどのパワーを持ったメロディを生み出し、聴く者をどこまでも圧倒します。西洋以外の民族音楽を聴くと、たいてい自分の音楽観がいかに西洋に馴らされているのかを知ることが多いのですが、ドゥドゥ・ンジャエ・ローズのパーカッションは特にそれを愕然とするほど鋭く感じさせてくれます。
このアルバムは、彼が率いる17人編成のパーカッションのみによるオーケストラによる演奏を収録したものです。1996年に富山県で行われたコンサートを2枚のCDに収めたものであり、アルバムからはライブ独特の熱気が伝わってきます。メンバーが全員家族(もしくは一族の者)というせいかはわかりませんが、ダイナミックでありながらも均衡と調和が見事なまでに保たれていて、その美しい打楽器のハーモニーは聴いているとたまらなくドキドキしてきます。このドキドキ感は、リズムが何層にも重なっているために、曲の流れが最後まで読めないことも強く影響していると思うのですが、そういうややこしいことじゃなくて、ただ単に迫力に圧倒されているだけなのかもしれません。
収録曲は、どうやら全てドゥドゥ・ンジャエ・ローズのオリジナルのようです。曲は彼の祖先や両親、セネガルの古いドラマー、さらには彼自身を讃えたものと、「借りは返せ」とか「子は親に従え」とか「隣人と平和に暮らせ」といった教訓じみたもので構成されています。しかしぶっちゃけちゃえば、それらの曲の間に携わっているはずの違いは、少なくとも私にはよくわかりません。どれも大迫力のパーカッション・サウンドであり、打楽器音の洪水というか、太鼓の音で構成された海というか、とにかく聴く者はそのリズムの中をたださまようことしか許されない、しかしそこに身を委ねるのが気持ちよくてたまらないといった感覚を味わえます。これはきっとこのパーカッション・オーケストラを指揮するドゥドゥ・ンジャエ・ローズの強烈なカリスマがCDからも溢れ出ているからでしょう。
このアフリカン・パーカッションの響きに耳を傾けていると、シンプルに生きる素晴らしさを改めて実感できる気がします。つまらないことにくよくよせず、大自然の中でたくましく生きることがとてつもなく美しいことのように思えてきます。こんなにも力強い音楽を聴いていると、自分もアフリカの大自然の中でシンプルに生きてみたいと思うのですが、実際にはそんな勇気も度胸もたくましさも心意気も備えていないことに気が付いて、現代文明に生きる脆弱な自分の存在というものを再確認できたりします。まあそれはそれで悪いことじゃないのかな、とか考えたりもするので、そんなにがっかりもしないですけど。
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