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台風が近づいています。こんなときはたとえいいライブがあっても出掛けずに、自宅でじっくりCDでも聴きながら過ごすことにしています。いや、もちろん地方都市にいたらいいライブ自体がほとんどないんですけど、とにかく腰を落ち着けて聴くラテンといったらどんなものがいいのか軽く考えてみた結果、ピアソラのタンゴという結論になりました。台風のさなかに聴いたら不安になりそうな曲とかもないわけじゃないのですが、そういう人はきっと停電で音楽なんて聴けないだろうからとりあえずいいことにしておきます。
アストル・ピアソラは、とにかく語り尽くせないほどすごい音楽家なので何も語らないことにしておきますが、一風変わったタンゴを演奏するバンドネオン奏者です。そしてこのアルバムは、私が大好きな音楽家(パーカッション奏者)でありプロデューサーでもあるキップ・ハンラハンがプロデュースした「ピアソラ・ファンなら持ってて当然でしょう!」という3枚のうちの1枚です。本当はサイトが出来て間もない頃に紹介した「Tango:
Zero Hour」が私の一番のお気に入りなのですが、このアルバムも負けず劣らずいい作品です。そしてまだ紹介していない残りの一枚もとても完成度の高いアルバムなので、きっといつか紹介すると思います。
このアルバムには「The
Solitude of Passionate Provocation(情熱的挑発の孤独、という訳でいいのかなあ?)」という副題がついていて、これは私の翻訳の程度の低さは別にして、とてもこのアルバムの本質を表していると思います。というのも、このアルバムに収録されている曲はどれも情熱的な熱さを持っているのですが、しかし同時にとても寂しげなのです。このアルバムを聴いていると、もう自分ではどうにもできない恋愛をしているときに感じる、昂揚感と孤独感が同時に押し寄せてくるような、幸福と後悔がないまぜになったような、あのなんとも不安定な感覚を擬似的に体験できる気が、少なくとも僕はします。だからこのアルバムを聴いていると僕は胸が苦しくなるのですが、それは決して嫌いな感覚ではなく、逆に心のどこかでは不思議と落ち着いた気分になったりもします。
などとちょっと気取って書いてみましたが、この状況を客観的に考えてみると、ニッポンの片田舎に住む凡庸なあんちゃん(というよりもうおっさんか?)がいかめしい顔をしたアルゼンチン人の爺ちゃんの曲を聴きながらなんとなくロマンチックなことを書いているということになるのだな、とさっき気がついて、なんだかそのシチュエーションにシュールなものを感じずにはいられませんでした。そして気がついてはいけないことに気がついてしまったな、ということに気がついたので、今日のところはこの辺でやめておきます。
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