|
長野県松本市の郊外、というよりも北アルプスの麓にある自宅周辺では、そろそろ雪が降るということが珍しくないシーズンになりました。寒い冬といったら現代音楽!、という連想をする人はきっとそれほどいないだろうと思いますが、個人的には秋から冬にかけてが、特にミニマル系を聴くにはベストシーズンだと思っています。ミニマルな音楽って、なんとなく「侘び寂び」に通じているような気がしませんか? ま、仮に誰も「そんな気がしない」と言ったとしても私はするので、今回はミニマル・ミュージックの巨匠、スティーブ・ライヒの新作を紹介します。
ライヒは私が一番大好きな現代音楽作曲家であり、このサイトでも何度も紹介しているはずなのでもういろいろ書きませんが、とにかくぶったまげるくらいすごい音楽家です。世界中の音楽を研究し、特にアフリカや東南アジアのリズムを現代のクラシックに持ち込み(彼の曲には15分の8拍子のものとかあり、聴いているとなんとな〜く変な感じがします)、その独自のビート重視の音楽は、現在のクラブ系ミュージシャンからも熱烈な支持を集めているのだそうです。特に70〜80年代の彼の作品は、聴けばそれも納得!の、90年代以降に通じる現代的なかっこよさに満ちあふれています。
ここ最近は新作を発表していなかったライヒですが、今回の作品にはクロノス・カルテットのために書かれた表題作が新譜として収録されています。その他3曲はそれぞれ60年代、70年代、80年代に発表された曲ですが、若い演奏家による斬新なアレンジがこうした曲に全く別の新たな命を吹き込んでいて、非常に新鮮に耳に響きました。どの曲も素晴らしいですが、大分在住のマリンバ奏者・吉田ミカさんによる「ヴァーモント・カウンターポイント」は、ライヒのカウンターポイント・シリーズが大好きな私は非常に気に入りました。ヴァーモント・カウンターポイントは、その後の2作(ニューヨーク・カウンターポイントとエレクトリック・カウンターポイント)と比べたら地味な印象しかありませんでしたが、この吉田さんの演奏はめちゃめちゃかっこいいです。
ちなみにこの表題作の「トリプル・カルテット」は、去年東京でクロノスのコンサートに行ったときに、偶然ですが東京初演を聴くことが出来ました(ちなみに日本初演は、その2日前の大分でのコンサートでした。また大分かよっ!)。私はそのとき、1階席のほぼ中央というかなりベストに近いポジションで、あのデイビッド・ハリントン(クロノスのリーダーです)のインテリっぽい顔を拝むことができました。もちろん演奏も素晴らしく、ライヒとクロノスのファンである私は、本当に一粒で二度美味しいライブを楽しむことが出来ました。などという、現代音楽を聴かない人にとってみれば箸にも棒にも引っかからない自慢話はこの辺でやめにして(少なくともそれはジャズのサイトでやることじゃないだろう>俺よ)、もう一回このアルバムを聴いてうっとりしてから眠りにつくことにします。
|