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21世紀最初の年も、今日で終わりです。年の瀬といえば、大掃除をしたり、おせちを作ったり、忘年会をしたり、あちこちにたまった借金を返済するために別のところから借金したりと慌ただしく過ごすのが定番ですが、せめて大晦日の夜くらいはゆっくりくつろぎたいものです。昔だったら家族で紅白歌合戦などを見ながら楽しく過ごすのが一般的だったのかもしれませんが、これだけ人々の趣味が多様化し、また歌手のレベルも低下している昨今では、それはあまり現実的な選択肢とは言えません。ということで、私はこんなアルバムで大掃除の疲れを癒すことにしました。エラ・フィッツジェラルドの「マック・ザ・ナイフ」です。
エラ・フィッツジェラルドは、女性ジャズ・ボーカルではビリー・ホリデイと並ぶ最も有名なアーティストであり、特に『スキャットの女王』としてその名を轟かせています。確かに自由奔放にスキャットしまくるエラも非常に楽しくて光り輝いている気はしますが、彼女が歌うバラードも、深く心にしみこんでくるようで僕は非常に好きです。どんなタイプの歌を歌っても、「肝っ玉母さん」的なルックスからは想像もつかないほどかわいらしい声で(本当におばちゃんっぽさの全くない声なのです)、しかし抜群の声量とテクニックで見事に自分のものにしてしまう、そういう人です。
このアルバムは、そんなエラがベルリンで行なったコンサートを収録したものです。1万人以上に及ぶ観客は、非常にお行儀よく・しかし思いっきり盛り上がっていて、エラもその声援にこたえて熱唱しています。ドイツで歌うということで特別に用意したのが、タイトル曲の『マック・ザ・ナイフ』です。この曲はドイツ出身のクルト・ワイルが「三文オペラ」のために書いた曲であり、このコンサートでの大成功・大反響を受けて、この曲はエラの十八番になったという、記念すべきアルバムでもあります。その後、『ハウ・ハイ・ザ・ムーン』という、これまたエラの得意レパートリーへと流れていくのですが、ここで聴けるスキャットはこれまた非常に素晴らしく、思わず聴き惚れてしまいます。
しかし、このアルバムを改めてじっくりと聴いてみて、エラの声は本当にかわいらしいなあ、と思いました。彼女の場合、迫力もあってテクニックもあって声量もあるので、『少女のようなかわいい声』とは思わないのですが、なんというか、非常に『かわいげのある声』なのです。私はかわいい女の子にはあまり興味がないのですが、かわいげのある女性には抵抗できない人間なので、そういう点からしてもエラ・フィッツジェラルドは大好きなのです。というわけで、エラは一部のロリータ・コンプレックスな方々にはお勧めしませんが、それ以外の老若男女を問わない全ての人々には一度聴いて欲しいミュージシャンです。特に女性は彼女の歌を聴いて「かわいい」と「かわいげのある」の違いを理解していただいて、世の中にかわいげのある女性が溢れるような事態になったら、個人的には『現世が天国』状態になるので、ぜひとも多くの女性に聴いて欲しいと思っています。
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