去年の「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」の映画(&サントラ)が大ヒットしたあたりから、巷ではキューバ音楽が脚光を集めています。確かにコンパイ・セグンドをはじめとする往年のミュージシャンがきちんと評価されて世界中で大ヒットしているという事実は「人間もまだまだ捨てたもんじゃないな」と思わせるものがありますが、今回はライ・クーダー以外にもキューバ音楽に魅せられたアメリカ人ミュージシャンがいるよということで、マーク・リボーの新作(といっても去年半ばの発売だけど)を紹介してみます。

 マーク・リボーは、ジョン・ルーリー率いるラウンジ・リザーズなどでも活躍したニューヨークのとんがり系ジャズを代表するギタリストです。その後、自身のバンド「Rootless Cosmopolitans」を率いて活躍したりしましたが(それにしてもかっこいいバンド名ですね)、ここ数年はキューバ音楽にはまっているらしく、現在は「Marc Ribot Y Los Cubanos Postizos」(スペイン語で「マーク・リボーといんちきキューバ人達」の意)というバンドで2枚のアルバムを発表しています。このアルバムは、その2枚目のアルバムということになります。

 このアルバムは、コンガやティンバレスを多用していて、またリボーのギターもキューバ出身の名ギタリスト、アルセニオ・ロドリゲスを多少意識しているのかなと思わされたりしますが、いんちきキューバ人達ですから聴いているとなんともいえない違和感を感じます。それはなんなのか、知識の乏しい私にはよくわかりませんが、きっと彼らの音楽の根底に流れているものが思いっきりアメリカだからかなと思っています。リボーほどの才人だったら『超キューバ』な作品を作ることもできたんじゃないかと思いますが、そんなことをしてもあまり意味はないし、ここではキューバ音楽の伝統を彼の尖ったセンスで消化した後の音楽を提示しています。

 そういえば去年、イブラハム・フェレール(だっけ?)をはじめとする『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』の面々が来日コンサートを行ったとき、チケットを取るのが本当に大変だったと聞きました。私の周りでも行きたいと熱望している人はたくさんいましたが、誰一人として行けなかったほどでした。しかし今年に入って同じメンツでまたコンサートが行われたようですが、それは比較的簡単にチケットが取れたみたいです。これっていったいどういうこと? キューバ音楽が好きって言っている巷の人の「好き」ってのはせいぜいそんなもんということなの? もちろんライブを観たいと思っている人が観れたのはいいことだけど、この素晴らしいキューバ音楽ももしかして一過性のブームとして終わっちゃうのかもなと思ったらちょっと腹が立ったりしました。まったく軽薄なんだから、日本人ってば。