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この間の『謙遜日記』に、ジョン・ルーリーが隣で釣りをしていたらいいのに、とかトム・ウェイツが釣った魚をパンツの中に入れてたら最高なのに、という話が載っていました。これを読んで何のことかわからなかった人というのは、たぶん全『謙遜日記』読者の9割を超えるのではないかと思ったのですが、これは今回紹介する「Fishing
with John」というジョン・ルーリーが主演・監督したアメリカのテレビシリーズの中に出てくる逸話なのです。この番組(全6話)は、東京では2年か3年くらい前に渋谷のユーロ・スペースで上映され、一部で大人気を博したのですが、このサントラも非常にいいので、今回マイナーな作品とは知りつつも紹介してしまうことにしました。
ジョン・ルーリーは、80年代からニューヨークを拠点に『フェイク・ジャズ』を名乗った一風変わった音楽を演奏してきたサックス奏者です。彼が率いる「The
Lounge Lizards」は、アート・リンゼイやらマーク・リボーやらビリー・マーティンやらロイ・ネイサンソンといった凄腕ミュージシャンが一時在籍していた、ある意味伝説的なバンドといえます。最近、演奏活動はかなりご無沙汰していましたが、最近新作を出したそうで(といってもこれはジョンの違うプロジェクトかもしれないけど。どちらにせよ中規模地方都市・松本のレコード屋には売っていなかった。トホホ)、大ファンの一人としてはとても嬉しかったりしています。
この「Fishing
with John」という作品は、ジョン・ルーリーがホストとして1回ごとにジム・ジャームッシュ、トム・ウェイツ、マット・ディロン、ウィレム・デフォー、デニス・ホッパーという超強力なメンツをゲストに迎えて世界中に釣りに出掛けるという話です(デニス・ホッパーは5話・6話に出演)。といっても松方弘樹の釣り番組とは違い、ほぼ完全なコメディで、そのどれもがとにかく抱腹絶倒な面白さなのです。そしてその番組を引き立てていたのが、ジョン・ルーリー本人によるスコアなのでした。
このサウンド・トラックでは、ジョン・ルーリーがラウンジ・リザーズでやってきた、ジャズをベースとしながらもいろんな音楽の要素を詰め込んだ、とても方向性が定まっているとはいえない、しかし密度は異常に濃い演奏を聴くことが出来ます。またサウンドトラックなので1曲が短いものが多く、まるでとても洗練された美しい万華鏡をのぞいているような感覚で演奏を楽しむことが出来ます。と書いても、もしかしたらこの音楽を美しいと感じるのは少数派かもしれませんが、とにかくサントラだけ聴いても充分楽しむことが出来る、ある意味「ジョン・ルーリー入門」に最適な一枚かも、とうすぼんやり思ったりしています。
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