みなさんもそうかもしれないと思うんですが、私には長い間聴いていないと禁断症状が出るミュージシャンというものが存在します。マイルスしかり、ビル・エバンスしかり、MMWしかりなんですが、今回紹介するゼイ・マイト・ビー・ジャイアンツもその1つであり、この10年以上、私が愛し続けているロック・バンドでもあります。

 ゼイ・マイト・ビー・ジャイアンツは、マサチューセッツの高校で知り合ったジョン・リネルとジョン・フランズバーグが作ったちょっと笑ってしまう音楽をやるバンドです。多重録音したテープをバックに、アコーディオンとかギターとか大太鼓とかハーモニカとかを演奏しながら歌う姿は、ヤンキー風味の陽気なチンドン屋という雰囲気もなきにしもあらずといった印象を受けますが、本人達はチャック・ベリーに近い極めてロケンロールなバンドだと認識しているとのことです。

 彼らのセカンド・アルバム『リンカーン』は、2人のジョンの母校から名前を拝借したとのことで、ここには18曲のちょっと笑える音楽が収録されています。彼らの音楽は、タイトルや歌詞が笑えるのはもちろん、曲の調子も風変わりなんですよね。特にこの頃のマイナーレーベルから発表されたものは、音もかなりチャチな安っぽいものという印象を受けます。でもこれはこれで素晴らしいんだよなー。それはきっと彼らの才能や若さやエンターテイナー精神が「これでもかっ!」というほど溢れてくるからではなかろうかと思います。

 私が彼らを知ったのは、忘れもしない、高校3年の卒業を控えた冬でした。その頃の私は衛星放送でやっていた「Music Box」という番組を見るのが日課だったのですが(受験勉強しろよ>俺)、そこで彼らのプロモーション・ビデオがちょこっとだけ紹介されたのが彼らを知るきっかけでした。確か90年代にブレイクが期待されるミュージシャン、みたいな特集コーナーだったと思うのですが、その2分足らずの映像で私はすっかり虜になってましたね。しかしネットもなかった当時のこと、松本のような田舎では周りに情報も乏しく、輸入盤を扱う店もなかったのでとても苦労したことを覚えています。今は本当に便利な世の中になったなぁ、と少しオッサンじみた感想を持っている今日この頃だったりしています。