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渋さを抑えた軽めのハード・バップというのは、昔ながらのジャズ・ファンにはあまり評判が良くないがために、紙メディアなどで取り上げられることは(少なくとも日本では)それほど多くないのですが、実はなかなか気軽に聴けるのでBGM的に流しておくにはもってこいですし、それに名盤とはいえないまでも佳作と呼べるアルバムも数多く存在しています。今回は軽めのハード・バップ界(ってのがあればの話だけど)が誇る名ピアノ・トリオ、ザ・スリー・サウンズのヒット作を紹介します。
ザ・スリー・サウンズは、ピアニストのジーン・ハリスを中心とした、その名の通り3人組のユニットです。出身地である中西部(シカゴのあたり)ではたいした注目も集められずにいたようですが、ニューヨークに進出した際にブルー・ノートのアルフレッド・ライオンとリバーサイドのオリン・キープニュースという2人の名マイナー・レーベル社長に見いだされ、結果的にブルーノートからレコード・デビューを果たしました。
この作品は、彼らがブルーノートに残した2枚目の作品であり、初のヒットアルバムでもあります。アメリカでのヒットの要因は、1曲目に収録されている『ベサメ・ムーチョ』がとても受けたからということらしいのですが、同じ演奏が「商業的すぎるから」という理由で日本で人気が出なかったというのは、日米のジャズ文化の違いとか変遷とかを考える上でかなり重要なポイントになるのではないか、などと思ったりしていますが、とりあえずここではそれには触れません。というか、ちょっとそう思っただけであり、私の知識ではそれ以上深く考察できないので、正確には触れないんじゃなくて触れられないだけなんですけどね。でもまあそれはともかく、この曲のルンバ調っぽいテーマ部分から4ビートのアドリブへと続く部分は、今聴いてもとてもかっこいいと思います。
その他の曲もミュージカルからのスタンダード曲がとても多く、ブルージーでありながらもさらりと洗練されていて、リラックスして聴ける演奏が続きます。その分確かに迫力はそんなにありませんが、例えばワインでもマルゴーやラトゥールみたいな高級ワインもいいけど(って語れるほどは飲んでませんが)、一方ではデイリー・ワインにしかない気張らないおいしさが存在するのと一緒で、ザ・スリー・サウンズの音楽はこういうデイリー・ワイン的な気張らない楽しみ方が出来るジャズといえましょう。まあ彼らの音楽は、じっくり味わえば味わったで楽しめるだけのテクニックに裏打ちされていると思いますけどね。
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