長野県では、そろそろ紅葉も見頃が終わりつつあります。乗鞍岳では初冠雪があったとかで、徐々に寒さが増してきました。私も省エネに熱心な会社で働いているために、寒さに震えながらパソコンのキーを叩く毎日を送っています(誇張ではありません)。今回は、そういうピリッと来る寒さの中で聴くとピリッと来る音楽、というのをテーマに据えてみたところ、このアルバムを思いついたので、ジャズじゃないけど紹介してしまうことにしました。

 コーネリアス・カーデュー(って読み方でいいのかな?)は、ロンドンのロイヤル・アカデミー・オブ・ミュージックで『バッハのスター・プレイヤー』と呼ばれたほど真っ当なクラシック音楽の教育を受けた演奏家なのですが、何を間違えたのかその後はジョン・ケージあたりの実験音楽にどっぷりハマって、その結果こういうアヴァン・ギャルド系ピアニストの第一人者となった人です。彼の作品の中で最も有名なものは、その頃やっていたとんがった演奏なのですが、今回紹介するのはそれよりもう少し後の時代の、非常に社会主義的な政治色の濃い作品を作っていた頃のアルバムです。といっても音楽はとても優雅で、そういった主張は曲を聴いているだけでは私にはピンとこないんですけどね。

 中でも1曲目の「The Croppy Boy」などは非常にロマンティックで、本当にうっとりと聞き惚れてしまうタイプの音楽です。それからこのアルバムのタイトルにもなっている「Four Principles on Ireland」は、そうした優雅さの中にも現代音楽にしかない独特のニュアンスが軽く含まれていて、クラシックすぎない点が私のような邪道にはしっくりきます。またこのアルバムの最後に収録されている「Revolution is the Main Trend in the World Today」(どうでもいいけどタイトル長すぎ)は、こうした曲とは違った感じで、かなり当時のポップスを意識したような作品で、これはこれで聴いていると楽しいです。

 このアルバムは全編通じてソロピアノのみで構成されており、その辺も『秋になるとピアノの音が恋しくなる男』としては、非常にオススメできるポイントでもあります。アルバムのデザインも「モノクロ+赤」という、ある意味保守的でありながらも非常にシャープな印象を与えるものであり、それがまたこのアルバムのイメージにぴったりとはまっています。というわけで、今週はジャズではない現代音楽なんぞを紹介してしまいました。このコーナーでは最近はジャズ以外は紹介しないようにしてたんですが、つい誘惑に負けてしまいました。ご容赦下さい。