ジャズのサイトを運営していて嬉しいことのひとつに、レコード会社の人が「うち所属のアーティストのアルバムを聴いてみて下さい」といってアルバムを送ってきてくれるというものがある。私はこういうカタチで、主にインディーズやマイナーなレーベルを中心にアルバムを送ってもらったことが数回ある(さすがにメジャーなレーベルは個人のサイトにはそういうおいしい思いはさせてくれませんな)。しかし、だからといって私がそうやってもらったアルバムの評価に手を加えるなんてことは(ちょっとしか)ないので、送ってくれても紹介してあげられないかもしれないけど、今回はちょっと気に入ったので紹介してみることにします。

 このドナ・バークという女性ボーカリストは、確かオーストラリア出身の方ですが、比較的正統派で伝統的なジャズ・ボーカルを演奏する人です。普段もそうなのか知らないけど、バックがデイビッド・シルバーマンというピアニストを中心としたカルテット(リズム・セクション+ギター)で、彼らの演奏が非常に保守的なものなので必然的にボーカルも保守的です。きっと日本人はこういうジャズボーカルが好きなはずだと個人的には思っていますし、曲がスタンダード中心である(というかもしかしたら全部スタンダード)というのも日本人の好みを絶妙に突いてきていると思います。これはきっとプロデューサーが日本人だったりして日本の市場をアテにしているからではないか、と勘ぐっていますが、私がいただいた資料にはプロデューサー名がなかったと思うので、ホントのところはわかりません。

 この人自身がオージーだからかどうかは知りませんが、彼女の声は明るい歌がとても似合います。日本市場をアテにしているだけあって(かどうか知りませんが)バラードも多めに歌っていますが、この人の魅力が一番光るのは明るい歌を歌ったときだと僕は思います。歌唱力という点では、少なくともアルバムが出せる程度には上手いと思いますが、本当にどこまで上手いのか、普段そんなにボーカルものを聴かない僕にはきちんと判断がつきません。ただ「何オクターブの声が出る」とかいうことだけを売り物にしている歌手とは違い、それなりに表現力も備わっているように思います。

 たぶんこのアルバムは、たぶんドナ・バークのデビュー作なのではないかと思いますが、ジャケットを見る限り、目尻のあたりのしわはなかなか見事です。それからこのレーベル(「dagmusic」という)の担当者から送っていただいた資料の文面は、演奏者を誉めすぎというほど誉めていて(LAで最も偉大なジャズギタリストだとかドラムスはアメリカポップミュージック界の歩く玉手箱だとか)、そのやりすぎ具合もなかなか笑ってしまいました。でも演奏は決してダメじゃないです。特に保守的なジャズボーカルが好きな方は、一聴の価値がある作品だと思います。是非CDショップで見かけたら購入を検討してみて下さい。そして「cafe blue で勧めていたので買ってみました!」という反響をCD会社に送っていただいて、これからも私の元に勝手にアルバムが送られてくるようになればいいな、と卑しい考えを持っていたりしますので、皆さんひとつよろしくお願いします。