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悪夢のような、しかし思いっきり現実の出来事であるアメリカのテロ事件から2週間以上が過ぎました。アメリカも、日本のニュースで見る限りは、一時期の消沈した雰囲気はなくなり、パニックも収まり、報復攻撃に向けて着々と準備を進めているようです。そしてそんな戦争に向かって突き進む風潮に異議を唱える人は、週刊文春あたりから『腰抜け文化人』呼ばわりされたりしていて、なんだか世の中が嫌な方向に向かっているよなぁ、と実感できる今日この頃です。そんなわけで、もしかしたら不謹慎かもしれないんですが、こんな時にどんな音楽を聴いたらみんながハッピーな気分になって戦争するのがアホらしくなるだろうか、と考えた結果、やっぱりデューク・エリントンかな、という結論に達したので、彼の代表作を網羅したこのアルバムを紹介することにします。
デューク・エリントンは、知らない人はいないんじゃないかと思うんですが、偉大な作曲家であり、卓越したピアニストであり、凄腕のビッグ・バンド・リーダーです。かのマイルス・デイビスも「我々は一日に3度、デュークに感謝の念を持つべきだ」と言ったとかで、その存在はジャズに限らず、アメリカのポピュラー音楽にとって欠かすことのできない人物です。彼の作った『エリントン楽団』は、カウント・ベイシー・オーケストラなどと並び、現在でも最高のビッグバンドのひとつとして、多くの人々に愛されています。
このアルバムは、1曲の新曲を除いて全てエリントン楽団の代表的レパートリーによって構成されています。例えば『A列車で行こう』、例えば『アイ・ガット・イット・バッド』、例えば『ソフィスティケイテッド・レディ』などなど、絶対に誰もが一度は聴いたことがあるあの名曲が、これでもかっ!というほど並んでいます。録音されたのは、黄金の40年代初期からはだいぶ離れた1966年なのですが、しかしその分音質はかなり良くなっていて(ステレオ録音です)、その分シロートにもとっつきやすい作品に仕上がっています。ピアノはエリントン本人が担当しており、また他のメンバーも、トランペットのクーティ・ウィリアムス、サックスのポール・ゴンザレスやジョニー・ホッジスといった、エリントン楽団の主要メンバーが参加しており、たとえビッグバンドを聴かない人でも押さえておくべき一枚といえましょう。
というわけで、前回と今回、私にしては珍しく非常に保守的なアルバムを紹介してみましたが、こういうのもたまに聴くと悪くないですね。特に今のような不穏な風が吹いている世の中では、家にこもってこういう音楽を聴いていると、ちょっとした現実逃避が出来たりします。まああまり逃避しててもいかんのでしょうけど、心に不気味な不安を抱えているような現状には、こういう一服の清涼剤は間違いなく必要です。できればブッシュもパウエルもビンラディンもオマル師もみんなエリントンを聴いて、戦争なんてくだらねえよな、と思って欲しいと思っています。
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