このサイトを始めて2年半が過ぎました。ずいぶん長いことやっているような気もしていますが、まだ紹介していないジャズ・ジャイアントというのも呆れるほどたくさん存在しており、ジャズの奥の深さに驚いたり喜んだりうんざりしたりしています。今回紹介するエリック・ドルフィーというサックス+クラリネット+フルート奏者も、ジャズを語る上で欠かせない偉大なミュージシャンの一人であり、またこのサイトで初めて紹介するアーティストでもあります。

 エリック・ドルフィーは、50年代末に彼の地元であるロスアンジェルスを中心に活動した後、60年代初めにニューヨークへ進出し、その4年後に若くして糖尿病で亡くなるまで、短い期間ではありますが精力的に活動を行ったミュージシャンです。ミュージシャンとしてのスタンスは、ハード・バップを中心としたメイン・ストリームと、フリー・ジャズの架け橋的な演奏をした人であります。彼の作り出すサウンドは、聞き慣れないうちはちょっとおかしな音楽という印象を持つかもしれませんが、ジャズもだんだん聴きこんでくると、『メインストリームの半歩先を行きながら、しかしフリー・ジャズほど難解じゃない』というあたりに徐々にはまっていくことになろうと思います。少なくとも僕はそうでした。

 この「アウト・トゥ・ランチ」というアルバムは、彼が亡くなった年にブルーノートに残した、『ドルフィー・ワールド』が思う存分堪能できる一枚です。というのも、このアルバムの収録曲は全編彼の自作であり、アルバム全体を通してトータルな音楽表現を目指して作られた作品だからです。サイドメンもフレディ・ハバードやトニー・ウィリアムスといった凄腕のミュージシャンであり、曲は当然として演奏も超一流となっています。リード・マイルスのかっこいいジャケットも、このアルバムの素晴らしさに花を添えています。

 というわけで、やっとエリック・ドルフィーの作品が紹介できて、肩の荷がひとつ下りた感じがしています。彼の作品は、もしかしたら初心者向きではない気もちょっとしてるんですけど、「この作品は有名だしぃ」という理由から、その辺は目をつぶっておくことにします。今後も、出来るだけ多くのミュージシャンの作品を取り上げていきたいとは考えていますが、なにせ嗜好が極端に偏っている人間が運営しているサイトなので、必要以上に期待するのはやめておくことを強くオススメします。あくまで期待はちょっとだけにとどめておいた方が、私のようなかなりのあまのじゃくを相手にした場合は、身のためだと思いますよ。