今回のオススメは「Bar (Looking For) Rachel Wallace」のオーナー・バーテンダー、ジェイさんに書いていただきました。私も常連客としてしばしば登場させてもらってますが、最近閑古鳥が大合唱しているようなので、この場を借りて『訪問客倍増てこ入れ大作戦』を敢行してみました。うまくいったら今度一杯おごって下さい>ジェイさん。


 ジャズは、世間一般では「渋い」音楽とされている・・・らしい。
 人にジャズが好き、というと大抵「(よくわからんが)渋いね」という答えが返ってくるし、ちょっとオトナな雰囲気のバーや創作和食の店なんかに行くと、BGMは大抵ジャズだったりする。
(まあBGMが全て「浜崎あゆみ」なバーもそれはそれでチャレンジングな試みではあるが・・・行きたくはないな、うん)

 そういうのも悪くはないけれど、ジャズは「渋い」というより「心地よい」という形容詞が似合う音楽だと個人的には思っている。と、いうのも私がジャズを聞きはじめるきっかけ(おお、なんと10年も前だ)となったこのアルバム、「STAN GETZ Plays」がまさにそういう音楽だったからだ。

 スタン・ゲッツ自身はどうにもこうにも「ロクデモナイ奴」という話しか伝わってこないのだけれど、このCDジャケットを見て、「アラバマに星落ちて」の穏やかで、かつべたべたしないテナーを聴くと、そんなことはどうでもよくなってしまう。
 だからといって、じゃあ、イージーリスニングか、というとそれも違う。
 クールに聞こえるブロウに、密度の濃いメロディーがびっちりと敷き詰められている。
 このアルバムを聴いていると、ついつい「1973年のピンボール」の主人公のようにテナーに合わせて口笛の一つもを吹きたくなってくる。

 いつ、どんな時に聴いても、初めて聴いた時の風景がよみがえってくる。
 それこそ、暮らしていた部屋の雰囲気やその時に飲んでいたコーヒーのにおいまでも。うまく言えないが、音楽との幸福な出会いとは、こういうことなのかな、と個人的には感じている。
  あの日、あの時に出会ったのがゲッツで良かった、と・・・
(いや、ほら、チャゲ&飛鳥とか長渕剛だったら目もあてられんからね、ほんま)