だんだん暖かくなってきて、ボサノバを聴くのにいいシーズンになってきましたね。というのは先週と全く同じ書き出しなんですが、まあとにかくそういうわけで今週もボサノバのアルバムを紹介してみます。

 ポール・デスモンドはデイブ・ブルーベック・カルテットで活躍したアルトサックス奏者です。デイブ・ブルーベック・カルテットで一番売れたのが『テイク・ファイブ』という4分の5拍子の曲で、この曲はジャズの世界で最も売れた曲ともいわれているんですが、その作曲者がこのポール・デスモンドなのでした。彼の書く曲は、彼のサックスの音色同様に耳に心地良いものが多く、このアルバムに収録されているものもとても聴きやすいものが多いです。そういう意味ではいわゆる『癒し系』といえなくもないです。

 このアルバムは全9曲のうち6曲が彼のオリジナルで、残りの3曲も1曲はこのアルバムに参加しているギタリスト、ジム・ホールの友人が書いたもので、他の2曲もアメリカ人の作曲家の手によるものです。ジョビンの名曲とかを収録したものが多いボサノバとしては珍しく、アメリカ産の曲中心のアルバムになっています。特に最後の曲である「The Girl from East 9th Street」は、「The Girl From Ipanema(イパネマの娘)」を彼一流のユーモアで独自に解釈した(と思われる)名曲です。スタン・ゲッツにゃ負けてらんねえぜっ!とか思って録音したのかもしれません。

 このアルバムもそうですが、ボサノバと言えばギターとサックスによる録音が多いですね。もちろんピアノなどもありますが、トランペットのボサノバとかってあまり聴いたことがありません(全然ないわけじゃないけどね。マイルスのやつとかあるし)。確かにとんがった音のトランペットよりはマイルドな音のサックスの方がよりボサノバに合うとは思いますが、それでももうちょっとトランペットもあってもいいんじゃないかなあ、と『ないものねだり』が得意な私は思ってみたりもしました。あ、別にこのアルバムが良くないって訳じゃないよ。このアルバムはあまり有名じゃないですけど、私の中では名盤です。たまにはアメリカンなボサノバを聴いてみたいという人にホントにぴったりなアルバムです。