最近このコーナーで、いわゆる『モダン・ジャズの名盤』を紹介してなかったなあ、と思い、たまにはそういうのを知ってもらわないことには「ジャズ初心者向けサイト」の名に恥じる!とかちょっと感じたので(笑)、今週はピアノトリオの名アルバムをいっちょ紹介してみることにしました。

 レッド・ガーランドは、ハード・バップ時代に大活躍したピアニストです。ずっとニューヨークでチャーリー・パーカーとかと共演したりして腕を磨いた後、マイルス・デイビス・クインテットに抜擢されて一気に彼の名を高めます。そういえば以前『レッド・ガーランドは元ボクサーで、当時ボクシングに夢中だったマイルスがボクシングの話を聞くために彼を自分のバンドに入れた』などという話も聞きましたが、そんなすっとぼけた理由と比較してガーランドは素晴らしい演奏をしているので、そりゃちょっと嘘じゃん?とか思っています(でもガーランドが元ボクサーというのはホントの話)。マラソン・セッションで有名な「-ing 4部作」にも参加していて、マイルスを引き立てる名脇役として活躍しています。

 このアルバムは、その当時にマイルス・クインテットと並行して率いていた自分のピアノ・トリオでの演奏を録音したものです。マイルスのバンドでは緊張感を漂わせながらもツボを押さえた演奏で名脇役ぶりを発揮してましたが、このアルバムは一転し、バンド・リーダーとしてリラックスした雰囲気の中で演奏しています。ガーランドは相変わらずスウィンギーな小気味よいプレイで楽しませてくれるし、ベースのポール・チェンバース(マイルス・クインテットにも参加)もブルージーなノリでこのトリオをぐいぐい引っ張っているし、ドラムスのアート・テイラーも「ピアノ・トリオのドラマーはこうあるべし!」といった、控え目ながらも押さえるところは押さえた演奏で、安心して聴くことができます。

 特に有名なのは、1曲目のエリントン作曲「Cジャム・ブルース」でしょう。この曲で味わえる「リラックス感溢れる躍動感」というか「聴くものをぐいぐい引っ張る軽快さ」がこのアルバムをピアノ・トリオの名盤にしていることは疑う余地がありません。静かな曲(2曲目とか4曲目)も激しい曲(3曲目とか)も、聴き進むにつれて一層楽しめる「オイシイ」アルバムです。是非御賞味あれ。